3学期始業式を行いました
2021年 明けましておめでとうございます
コロナ禍が続く中、新しい年を迎えました。今年も例年と変わらず、1月7日に3学期始業式を行いました。
ただし、全校生が一ヶ所に集合することは避け、各教室での開催となりました。
全校放送にて、開式の号令の後、校歌を1番だけ流して、続いて校長から始業式・新年の式辞を述べました。
以下、校長式辞です。
明けましておめでとうございます。
今日は1月7日です。例年通りの日に始業式を行うことができることをうれしく思います。
暦では、今日は人日(じんじつ)の節句という季節の変わり目にあたります。正月の終わりでもあるこの日に、七つの季節の野菜を粥にして食べると自然から生命力をもらって、健康でいられるという習慣があります。七草がゆですね。
今年の正月はいつもの日本の正月らしさが薄くなった気がします。コロナのために日本の風習が失われていくようで心が痛みます。
新型コロナウィルスが出現して1年が過ぎました。世界中が苦しんでいます。この苦しみはまだ終わりそうにありません。100年前の新型インフルエンザによるパンデミックは、1918年から1920年まで3年間続きました。世界人口の半分から三分の一が感染し、死者は5000万人を越えたそうです。自然科学が進歩した今では、新型コロナウィルスの感染者はそれほどの数にはならないと思いますが、1月6日現在で、亡くなった人の数は168万人です。感染を防ぐ方法は、100年前と同じで、人との接触を避ける、つまり密にならないこと、手指の消毒、換気、規則正しい生活により心身の健康を保つことです。この先、政府が緊急事態宣言を出すにしても、学校を休校にすることはしませんが、もし、身近なところで感染が起きたときには臨時的に休校などの措置を執ることはあり得ます。その時に備えて、常に連絡、情報共有が出来るようにしておき、学習の計画が滞ることのないようにしたいと思います。本校では、そのようなICT環境がありますので、それが使えないということのないように皆でリテラシーつまり、情報活用能力を高めていきましょう。
あらかじめ皆さんに了承してもらいたいことがあります。2月3日(水)に高校入試一般試験があります。通常は前日の午前中まで授業を行うのですが、今年は、コロナ対策として、2日前から学校を閉鎖します。したがって、1月30日の土曜日から2月4日までの6日間出校することができなくなります。その間の学習が進むようにiPadを使って指示しますので家庭で学習を進めてください。
12月18日に本校で「学びを変えるICT・いちむら事例報告会」という会を開きました。県内から小中高の先生など多くの教育関係者の方々が集いました。この会では本校のICT教育が先進的であることが分かったと同時に、これからの日本の教育の大きな転回点が来ていることを実感しました。日本では、iPadを自在に操り、自分の学習の手段として当たり前に使いこなす生徒はまだまだ少ないのが現状であるけれども、iPadはただの検索マシーンとしてではなく、自分の思考の手段として強力であること、記録するだけでなく、人に伝達するツールとして画期的なものであることがわかりました。これからの教育はICTなしでは立ち行きません。それが多くの教育関係者にわかったのです。今後急ピッチで日本中の学校でICT利用が進むでしょう。それでも、本校がその最先端を進みたいと思います。
コロナ禍で分かったことは、学ぶというのは本来、一人一人の行為であるということです。学校へ行こうと行くまいと、授業を教室で受けようとオンラインで受けようと、または人と一緒に授業が受けられなくとも、学ぶことはできる。これまで当たり前のように思っていた学習とは、教室で友達と一緒に先生から講義を聞き、黒板をノートに写して、何かを覚えるという行為でしたが、覚えるということが物事を理解したことにはならないのです。自分なりに課題に興味を持ち、知りたいわかりたいと頭の中が動き出したとき、その場が教室でなくとも、一向に学ぶことの妨げにはならない、大事なのは考えることです。このように、学ぶことは一人でできるけれども、一方で、人と対話し、意見を交換することによって、他の人の考えを自分の中に取り込むことも重要な学びだということがわかりました。人と一緒に学ぶということで、心理的な作用が働き、互いに刺激しあい競い合って考えを高めることができます。人と学び合うということは、リアルに対面で行う方がより効果的ですが、人と離れていてリモートであっても、オンラインで仲間たちや先生と繋がることで十分効果は得られることがわかりました。
大事なことは、人が学ぶというのは、自ら考えるということであって、教えられた知識を鵜呑みにして記憶することではないということです。いまや知らないことはなんでも調べることができる素晴らしい手段を持っています。調べまくりましょう。そして得られた知識の中で何が正しくて何が間違っているのかを自分の頭で判断し、自分の考えを創り出し、自分の言葉で表現し、人に伝えましょう。その繰り返しが学びです。学ぶことによって、自分の能力を高め、物事に対する理解を深め、知的レベルがアップすることになるのです。
今日の始業式を、例年と違って、放送を使って教室で行うことにしたのは、密を避け、授業時間を確保するためですが、この後高1高2で行う、「学びの基礎診断」のためでもあります。
「学びの基礎診断」ですから、基礎学力がどのくらい身についているかを診断するという試験です。試験は本来学んだことがどのくらい理解できているかを測るものですが、それによって成績がつき、進路が左右されるとあって、とにかくいい点を取ろうということだけが先行しています。そのため本来の試験の意味を外れて、試験範囲の問題を覚えて、それを試験で思い出して答えを書けばいいように思われていますが、そうではありません。市邨芳樹先生が、「学生の勉学は試験のためにあらず」といったのは、100年前にこの現状を嘆いたからです。
今日の「学びの基礎診断」は、試験範囲はこれまで勉強したことすべてですし、何が出るかを考えて準備するということは必要ありません。現在のあなた自身の理解していることを知るための試験です。大事なのは準備した結果ではなく、今のありのままの学力です。もしその学力、基礎的な学力ですが、が十分であればいいけれど、不十分であれば、その部分をもう一度復習して、いま勉強している内容についても基礎からの理解を深めようということです。今後の学習をどのように進めるかを決めるために、現在の君たちのありのままの理解度を知りたいのです。理解していることの上に知識を積み上げていかなければなりません。これまでに勉強したところが、本当に定着しているかどうかを調べる試験です。学力の到達度を知り、これからの目標を立てるための大事な試験です。
三学期は、一年の締めくくりです。あっという間に過ぎていきます。三年生は、人生の次のステージに向けて学びを続けてください。来週末のセンター試験に向けてがんばっている人がいます。すでに進路先を決めている人も、これからが勉強です。勉強は卒業した後のためにするのです。
まだまだ、コロナ禍は続きますが、その中でも、本校は、自分で考え、自分で行動することによって、一人一人が伎倆を高めることを目指したいと思います。
「一人一人が伎倆を高めること」それが、本校の「コロナに負けない」ことだと思います。一に人物ですので、伎倆を高めることが、人物を作ることに繋がると信じています。
コロナに負けずに、有意義な一年にしましょう。

この後、高1、高2は「学びの基礎診断」を受け、中学は学力推移テスト、高3は早速授業でした。
その後、3月11日に予定している「防災帰宅訓練」の準備として、学年の枠を取り払って、居住地ごとのグループに分かれ、グループの顔合わせと打ち合わせを行いました。
本校の防災の観点は、災害が起きたとき、第一はもちろん身の安全を守ることですが、落ち着いたことを確認したら、「自分の地域で人を助けられる人になろう」という点で帰宅することを重視しています。そのために、同じ地域から来ている生徒同士を確認し、助け合って帰宅しようということで、皆で歩いて帰宅訓練を行います。名古屋市内の公共交通機関がストップしているという想定ですが、郊外の拠点まで約5キロを歩くという訓練です。昨年は、コロナ禍で実施できませんでした。何とか、コロナと防災の折り合いをつけて実施したいと考えています。