物理基礎 放射線を霧箱で見る
外部講師を招いて、放射線・放射能・放射線物質を考える実験を行いました。
物理基礎で学ぶ「波」のうち、放射線について実験を通して深く学びました。
講師には、日本科学技術振興財団の加藤太一先生をお招きして、授業サポートして中部原子力懇談会 佐合さま(3日とも)、柘植さま(1,3日目)、町田さま(2日目)をお願いしました。
本日の学習内容は次の6点です。
1.放射線とはなにか
2.放射線はいろいろなところにある
3.目には見えないが線量計で測定できる
4.線量をしっかりと測るためには、何度も測定する必要がある
5.霧箱を使えば、目に見えない放射線を見ることができる
6.放射線を正しく知って、誹謗中傷・差別のない社会をつくっていこう
放射線は、「目で見えない」「においがない」「触れない」など、そのままでは感じることができませんが、線量計を用いると視覚的に見ることができます。生徒たちはひとり1台の線量計を使って身の回りの物質について放射線を出しているかを調べます。
まず、スイッチを入れただけでも線量計の数値が上がっていきます。身の回りに放射線を出している物質があることを示しています。自然界にはごく普通に放射線が飛び交い、私たちはその中にいます。これを自然放射線と言います。0.084マイクロシーベルト毎時でした。

次に、「御影石」「船底塗料」「カリ肥料」「湯の花」「塩(塩化カリウム)」の5つの材料を線量計に近づけ、各物質から放たれている放射線量を測定します。

結果は、「船底塗料」が他の物質に比べて約10倍ぐらいの値を示していました。船底塗料とは、船底に塗っておく塗料で、フジツボなどの生物が付着するのを防いでいるそうです。

放射線・放射能・放射性物質・ベクレル・シーベルトなど、放射線に関わる「キーワード」について説明したカード(よみふだ)を選んで、シートに書かれたキーワード(えふだ)の上に置いていきます。文章をよく読むことで正しく、深く理解することができます。1枚カード(「放射線は人にうつることはありません」)が残りました。2011年3月に起きた東日本大震災のあとに広がった誹謗中傷を反省し、二度と同じようなことが起きないよう正しい知識を学んでいきましょう。


エタノールを充満させたプラスチック段ボールのケースをドライアイスで冷やします。ラップで蓋をしてライトを斜め横からあてます。箱の中に白い筋が何度も何度も飛び交っています。自然放射線が霧箱を通過した時に、気化していたエタノールが凝縮して液体に戻り白い筋(飛行機雲のように)となってその軌跡を見ることができました。観察された放射線は、「宇宙線」「アルファ線」「ベータ線」です。
忙しい時期に、本校生徒のためにわざわざ東京から来ていただきありがとうございました。生徒たちは「放射線=こわい」から、放射線を「正しく知り、正しく怖がる」ことが大切だと感想を述べていました。また、本校に20台の自然放射線が観察できる霧箱があります。今年の夏休みにも、中学校の先生方を招いて霧箱製作のワークショップを行う予定です。